昨年の10月頃より、高力ボルト(HTB)の納期の遅れで工期に影響が・・・等の話題が世間一般に騒がれながらも、
余り実感する事もなかったのですが、先日ついに実感することとなりました。
設計させて頂いている施設をスパン等の空間の関係上、鉄骨造にて設計を進め、高力ボルトの納期に3か月程有すとのこと。
建築確認申請の提出中に、済証の交付を待つ事なく施工業者の選定を行うべく入札を開催しました。
入札にて各社から金額が出揃うまでに約1か月程を要しました。その間に高力ボルトの納期が6か月程を有す状況となり、
ただボルトを待ち続けて竣工日を遅らせなければならない事態に・・・。
竣工日を遅らせたくないとのお客様のご要望より、思い切って設計変更を!という事とし、提出しておりました建築確認申請
書を取下げ、新たに構造変更・間取り変更を行いました。
建物本体からすればボルトというほんの小さな部材が、これ程大きく影響するんだと知らされる事となる瞬間でしたが、
何故こんなに高力ボルトが入手出来ないのか?
国土交通省が昨年の11月に建設現場での高力ボルトの需給ひっ迫の声を受け、
全国で「高力ボルトの需給動向等に関するアンケート調査」を実施した結果を発表されています。
●東京オリンピック、大型再開発など、ここ数年建築の物件が多く、鉄骨需要が旺盛な状況が続いている
●ボルトの材料となる鋼材の供給が追いつかず、ボルトメーカーの生産がボルトの需要に追いついていない
●ボルトの材料となる鋼材は「自動車」、「機械」、「建設」で使用されているが、
「自動車」、「機械」が好調であるため「建設」に回る量がボルトの需要に追いついていない
●溶接工不足により、鋼材の継手部がボルト継手に変更された為、需要が増えたとの話もある
今までも良く聞かされている話ばかりですが、積もり積もっていった結果なのでしょうか。
これらの要因から、2025年の万博が決定し、関西の景気も上向くことを期待しながら益々の材料供給不足が想定されます。
この期に建築をお考えならば、早期に計画をつめていく事をお勧めします。
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